茅ヶ崎市矢畑の内科/糖尿病内科/代謝・内分泌内科

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生活習慣病

Lifestyle diseases生活習慣病について

生活習慣病

生活習慣病は、肥満、高血圧、耐糖能障害(たいとうのうしょうがい:食後に吸収されて血管内に入った糖が利用されず、血管内に留まる状態)、脂質異常症(ししついじょうしょう)などの危険因子がひとりの患者さんに集積して起こるメタボリック症候群や糖尿病のことを指します。

メタボリック症候群の危険度が増すのは内臓脂肪型肥満です。規則的な生活、充分な睡眠、喫煙者は禁煙にお心掛けください。

高血圧症について

血圧が正常の範囲を超えて高い状態が続いている疾患です。

高血圧症は脳卒中や心筋梗塞などの原因として最も危険度が高いとされていて、血圧の十分なコントロールが必要とされています。現在、日本国内に高血圧の方は約4300万人いると推定されていますが、そのうち適切なコントロールをされているのは、わずかに1200万人です。

健診などを受けていなくて自分が高血圧であることを知らない方が約1400万人、知っているけれども治療を受けていない方が450万人、治療を受けているけれど目標に達していない方が1250万人いると試算されています。

まずはご自身の血圧を知ること、そして年齢・並存疾患により異なる血圧の治療目標値を知ることが治療のスタートとなります。

血圧の測定について

高血圧と診断するためには、正しい血圧の測定が重要です。

診察室での血圧と家庭での血圧の間に差がある場合は、家庭での血圧が優先されます。このためご家庭での血圧測定がより重要となっています。

ご家庭での血圧測定では、上腕(二の腕)での測定が望ましく、原則2回を測定し平均を用いること、朝・晩それぞれの測定を7日間以上つづけて行い、平均値をみることで診断、治療効果の判定を行っています。

白衣高血圧について

診察室での血圧が高いにも関わらず、家庭での血圧が正常範囲となっている方を白衣高血圧と呼んでいます。これに対して、診察室・家庭ともに高い方は持続性高血圧となります。

白衣高血圧の一部は将来、持続性高血圧に移行することがわかっているため、注意しながら経過をみる必要があります。

2次性高血圧症について

高血圧症は特に原因がない本態性高血圧が多くを占めていますが、それに対して特定の原因による高血圧のことを2次性高血圧と呼んでいます。

腎血管性高血圧、腎実質性高血圧、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、睡眠時無呼吸症候群などが代表疾患として挙げられます。病態も治療の方針も大きく異なり、原因を特定して治療することにより効果的に血圧を下げることができるため、適切な診断が重要とされています。2次性高血圧は、少なくとも高血圧症全体の10%以上となり、とくに原発性アルドステロン症が約5~10%を占めるとされています。

家族に高血圧の方が多い、比較的若年(20~30歳代)から血圧が高い場合などが2次性高血圧を疑うところで、スクリーニング検査(血液検査)を行い、結果により精密検査を実施します。

塩分制限について

食塩の摂取量が増えると血圧が高くなり、摂取量を減らすと血圧が下がることがわかっています。我が国ではもともと食塩の摂取量が多く、1950年代に東北地方で行われた調査では1日約25gとの結果が出ています。近年は少なくなっていますが日本人の平均で約10g前後(2016年国民健康・栄養調査結果)となっています。

高血圧患者に対しては、減塩目標を1日6g未満とすることが強く推奨されています。

降圧剤治療(血圧を下げる薬)について

塩分制限など生活習慣の改善を行っても、血圧が治療目標範囲まで下がらない場合は、降圧剤治療が必要となります。降圧剤には、ARB・ACE阻害薬・Ca(カルシウム)拮抗薬・サイアザイド系利尿薬などの系統があります。

並存疾患の有無などにより選択が異なりますが、一般的にはARB・ACE阻害薬・Ca(カルシウム)拮抗薬のなかから最初に使用する薬が選択されます。

脂質異常症について

血液中に含まれる脂質が過剰、または不足している病態のことで、以前は高脂血症または高コレステロール血症などと呼ばれていました。

我が国における脂質異常症の患者数は約220万人と推計されています。閉経後の女性に多く、女性は男性の約2.4倍となっています。遺伝的な要因、過食や高脂肪食、運動不足、喫煙、ストレスなどが影響していると考えられています。

診断について

血液検査による測定を行います。

総コレステロール値、HDLコレステロール値、中性脂肪値、またこれらからLDLコレステロール値を計算式により算出します。

現在の診断基準は、以下の通りとなっています。

  • 高LDLコレステロール血症: LDLコレステロール 140mg/dL以上
  • 境界域高LDLコレステロール血症: LDLコレステロール 120~139mg/dL
  • 高トリグリセライド(中性脂肪)血症: 中性脂肪 150mg/dL以上
  • 低HDLコレステロール血症: 40mg/dL未満

現在は、総コレステロール値は診断基準に使用されていません。

食事療法について

  • 摂取カロリーを制限して適正な体重を維持すること
  • そのうち脂質のエネルギー比率を減らすこと
  • 高LDLコレステロール血症では、コレステロールの摂取量を1日200mg未満に減らすこと
  • 飽和脂肪酸(肉、牛乳、バター、卵黄などに多い)を減らし、多価不飽和脂肪酸(植物油、魚に多い)に置き換えること

などが血清脂質の改善や動脈硬化性疾患の予防につながるとされています。

家族性高コレステロール血症について

生まれつきLDLコレステロールが異常に増えてしまう病気です。

これは肝臓の細胞表面にあるLDL受容体の遺伝子異常が原因であり、両親ともにこの遺伝子異常がある方をホモ接合体、片親のみ遺伝子異常がある方をヘテロ接合体と呼んでいます。ホモ接合体患者は約100万人に1人の頻度です。

通常の高LDLコレステロール血症ではLDLコレステロール値は180~250mg/dL前後であることが多いですが、家族性高コレステロール血症では、ヘテロ接合体で250mg/dL前後、ホモ接合体で500~600mg/dL前後と非常に高い数字となります。

このため、若年から動脈硬化が進行し、狭心症・心筋梗塞・腹部大動脈瘤・突然死の原因となります。家族歴、特徴的な身体所見(皮膚黄色腫やアキレス腱肥厚など)からこの疾患を疑います。

薬物療法について

生活習慣の改善を行っても、脂質数値が治療目標範囲まで下がらない場合は、薬物療法が必要となります。

高LDLコレステロール血症に対しては、HMG-CoA阻害薬であるスタチン系薬剤が第1選択として使用されます。高トリグリセライド(中性脂肪)血症に対しては、フィブラート系薬剤または高価不飽和脂肪酸(EPAやω-3脂肪酸)などが使用されます。

治療目標は並存疾患の有無により異なり、近年LDLコレステロール値の目標は厳しくなる傾向となっています。