甲状腺内科
甲状腺内科
甲状腺内科ではホルモン(内分泌)異常を診療いたします。
ホルモンとは、体内で分泌され、血液などを通して標的となる臓器で機能を発現させる生理活性物質を指します。からだが常に同じ状態になるようにバランスをとるために存在しています。個々のホルモンが多くても少なくても体のバランスが保てなくなり、体調の変化としてあらわれます。
よくありがちな症状の中にホルモンの病気が潜んでいる場合があります。ホルモンの病気は、分泌される器官により異なり、甲状腺疾患、副甲状腺疾患、副腎疾患、下垂体疾患、性腺疾患、電解質異常などです。
当院では、日本内分泌学会専門医が甲状腺をはじめとした各種内分泌疾患の診断・治療を行います。以下のような疾患・症状がある方は受診、ご相談をください。
甲状腺とは、頸部前面(のどぼとけの下)に位置する臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンには、全身ほとんどの細胞に作用し、エネルギー代謝・産生を促進する作用があるため、過不足により以下のような様々な症状が現れます。
また内科疾患や腫瘍・結節などにより、甲状腺が全体または一部が腫れて大きくなることがあります。これは甲状腺腫とよばれており、ご自身で気付かれることもありますが、ご家族や健康診断(学校健診)などで指摘されて来院される方も多くいます。
甲状腺機能低下症の症状として、以下のような症状が現れます。
当院では甲状腺機能検査、甲状腺関連自己抗体検査、超音波検査で甲状腺疾患の診断を行い、適切な薬物療法を行います。手術療法などが必要な患者さんにつきましては、甲状腺疾患の専門的な診療を行っている医療機関を紹介させていただきます。
甲状腺に慢性の炎症が起きる病気で、九州帝国大学の橋本策医師が1912年に世界で初めて医学雑誌に報告したことからこの様に名付けられています。
自己免疫性疾患の一つであり、他の多くの自己免疫性疾患と同様に遺伝的要因と環境因子の組み合わせで発症すると考えられています。甲状腺疾患の家族歴が認められることもあります。
男性より女性に圧倒的に多く(男性の10倍から20倍)、また45歳から65歳の年齢層で多くみられています。
血液検査で甲状腺ホルモン(FT3、FT4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)ならびに抗甲状腺抗体の抗サイログロブリン抗体(TgAb)・抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)を測定します。
甲状腺全体が腫れていること・抗甲状腺抗体のうち少なくとも一つが陽性であることから確定診断となります。
甲状腺ホルモンの値は診断には必要がなく、橋本病を診断される方のうち、実際に甲状腺ホルモン値が低いのは約4人に1人ほどとされています。
甲状腺ホルモンが低下している場合には甲状腺ホルモン剤(チラージンS)を内服します。
多くは数か月後に甲状腺機能は正常化しますが、甲状腺ホルモン剤は長期間継続する場合がほとんどです。抗甲状腺抗体が陽性でも甲状腺ホルモンが正常であれば治療の必要はありません。
甲状腺ホルモンが過剰に造られる病気で、自己免疫性疾患の一つであり、他の多くの自己免疫性疾患と同様に遺伝的要因と環境因子の組み合わせで発症すると考えられています。甲状腺疾患の家族歴が認められることもあります。
他の甲状腺疾患と同じく女性に多く、男性の約4倍程度。甲状腺の病気のなかでは比較的男性の比率が高いとされています。発病年齢は、20歳代と30歳代で全体の過半数を占め、次いで40歳代、50歳代となっており、青年から壮年に多い。
血液検査で甲状腺ホルモン(FT3、FT4)、抗TSH受容体抗体(TRAb)、または抗TSH受容体刺激抗体(TSAb)を測定します。
甲状腺ホルモンの増多、自己抗体(TRAbまたはTSAb)の陽性、甲状腺機能の亢進所見(超音波検査での血流増加など)を見て、臨床的に診断します。
過剰に分泌している甲状腺ホルモンを正常に戻すことを目指して治療します。
治療法として薬物療法・アイソトープ療法・手術療法があります。我が国では薬物療法が最もよく行なわれています。
甲状腺ホルモンの合成を抑える働きのある薬(抗甲状腺薬)を内服します。メルカゾールとプロパジールの2種類がありますが主にメルカゾールを使います。妊娠初期・授乳中の方にはメルカゾールは使用できません。
メルカゾールは概ね1日15㎎以内の量で開始し、甲状腺ホルモンの値を見ながら減量していきます。治療効果はおよそ1~3か月で甲状腺ホルモン値が正常になると、症状がおさまり通常の生活ができるようになります。治療は最低でも2年程度が必要となります。
長期間の服用が必要であること、抗甲状腺薬には薬疹・肝機能障害・顆粒球減少などの副作用が起こりうること、一時内服中止が可能(寛解)となった場合にも再燃する可能性が高い疾患であることから、薬物療法の継続が困難となるケースがあります。その場合には、アイソトープ療法または手術療法が検討されます。
主に海藻などに含まれているヨウ素は、甲状腺に集まり甲状腺ホルモンの原材料として使用されます。この働きは放射性ヨウ素も同様にあり、甲状腺に集まる性質を利用することで甲状腺組織を減らし、甲状腺ホルモンの産生量を減少させます。
薬物療法よりも早期に治療が可能であること、手術療法とは違い傷跡が残らないことがメリットとして挙げられます。治療後は甲状腺機能低下となり甲状腺ホルモン薬の内服が必要となる場合があります。
また、放射線を使用する治療ですので、治療後は1年ほど妊娠許可ができなくなり、現在妊婦されている・授乳されている方には行えません。
甲状腺ホルモンを過剰分泌している甲状腺組織を外科的に切除し、甲状腺ホルモン過剰の状態を改善させる方法です。甲状腺組織を少し残す亜全摘術または甲状腺組織を残さない全摘術が選択されます。
手術後は甲状腺ホルモン薬の内服が必要となりますが、甲状腺ホルモン薬は副作用の心配も少なく、内服量が一定すると長期処方が可能となり、通院回数も少なくなります。
原発性副甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、高カルシウム血症、低カルシウム血症などがあります。
原発性アルドステロン症、クッシング症候群、アジソン病、副腎皮質機能低下症、褐色細胞腫などの疾患があります。
特に原発性アルドステロン症の頻度は高血圧症の6%前後と言われており,非常に多い病気であり、治療を行うことにより著明に改善することが多いです。
先端巨大症、クッシング病、プロラクチノーマ、下垂体腺腫、下垂体機能低下症などの疾患があります。
原発性性腺機能低下症や続発性性腺機能低下症(視床下部疾患や下垂体疾患など何らかの原因がある場合)などの疾患があります。
高ナトリウム血症、低ナトリウム血症、高カリウム血症、低カリウム血症、高カルシウム血症、低カルシウム血症、高リン血症、低リン血症などの疾患があります。
また、検診や人間ドックで電解質異常を指摘されたり、骨塩定量で骨密度低下を指摘された場合にはご相談ください。